フリーランスの消費税ってどうなるの?インボイス制度についても解説します!
フリーランスの場合、消費税はどうなるのでしょうか?また、インボイス制度についても、よくわかっていない方や不安を感じている方は多いのではないでしょうか?
今回は、フリーランスエンジニアとして活動されている方に向けて、消費税に関わる基礎知識を詳しく解説していきます!
目次
消費税の仕組み
まずは、フリーランスエンジニアが知っておくべき消費税の仕組みについてご説明します。
消費税は「商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税」と定義されており、国内における品物やサービスなど、消費に対して公平に負担する義務がある税のことを言います。
消費税は事業者ではなく消費者側が負担し、事業側が消費者に代わって納税する仕組みです。フリーランスの場合、事業者としてクライアントに労働を提供し報酬を得た時、売上高に対して消費税が課税されます。
また、すべてのフリーランスに消費税の納税義務があるわけではありません。消費税の納税が義務付けられているのは「課税事業者」であり、免税事業者であるフリーランスは免除されます。
取引先に消費税の請求はできるか?
店舗で販売されている商品に消費税が発生するのと同様に、フリーランスが提供する商品・サービスについても消費税を請求できます。
請求書には、原則、消費税を含めて作成します。請求書を作成する際には、消費税額が分かるように「本体価格」と「消費税」をわけて記載してクライアントに明示してください。
フリーランスの消費税の納税条件
フリーランス全員が消費税を納税する必要はありません。
フリーランスの消費税の納税条件のポイントは「売り上げ1000万円」です。課税売上高が1000万円を超えている場合には、課税事業者となり消費税の納付義務が生じます。
反対に、売り上げ1000万円を下回っている場合は、消費税の納税が免除されます。
<売上1,000万円未満もしくは開業から2年間は消費税の納税が免除される>
売上1,000万円未満もしくは開業から2年間は消費税の納税が免除されます。ただ、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、「特定期間」(課税期間の前年の1月1日〜6月30日)において「課税売上高が1,000万円超」かつ「賞与や手当含めた従業員の給与等支払額が1,000万円を超えた場合」は課税事業者となります。
消費税に関するクライアントとのやり取りにおいての注意点
契約の際に消費税に関する内容は決めておく
納品後、フリーランスエンジニアの方は請求書を送る必要がありますが、合計金額が「税込価格」か「税抜価格」のどちらかを必ず事前に決めておきましょう。
「消費税の支払い義務がある」旨を説明した上で、契約すると良いです。損をしないためにも、提供するサービスや商品が税込価格か税抜価格かどうかを予め決めておきましょう。
消費税の価格交渉には応じない
中には減額交渉をしてくるクライアントもいるかもしれません。しかし、消費税の価格交渉はトラブルの原因になることが多いため、可能な限り避けましょう。
消費税はあくまでも税金なので、減額対象にはなりません。フリーランスとして、消費税を受け取る権利を自ら放棄することはやめましょう。
インボイス制度とは?
インボイス制度とは、適格請求書(インボイス)の交付と保存により、仕入税額控除が受けられるようになる制度のことで、2023年10月から導入されました。インボイス制度はフリーランスエンジニアの消費税に関わる制度で、消費税の仕入額控除を受けるためには「適格請求書(インボイス)」が必要となります。
ただし、適格請求書を発行できるのは「適格請求書発行事業者」でなければならず、登録できるのは消費税の課税事業者のみです。そのため、フリーランスのシステムエンジニアなど売り手側は、取引先にインボイスを発行したい場合、課税事業者であることが必須です。
免税事業者と課税事業者の確認
簡単に言うと、免税事業者とは消費税の納税義務が免除されている事業者のことを指し、課税事業者とは消費税の納税義務がある事業者のことを言います。
課税事業者とは、所定期間における年間の課税売上高が1,000万円を超え、消費税の納付義務がある法人や個人事業主のことです。一方の免税事業者とは、所定期間における年間の課税売上高が1,000万円以下で納税していない事業者です。
フリーランスエンジニアの多くが免税事業者ですが、そのままでは適格請求書発行事業者になれず、買主に求められてもインボイスを発行できません。適格請求書発行事業者になるためには、課税事業者になる必要があります。
フリーランスへの影響
適格請求書発行事業者として登録できるのは課税事業者に限られます。そのため、適格請求書発行事業者になる場合は今まで免税事業者だったフリーランスも課税事業者になり、消費税を納付しなくてはいけません。
以下のどれかに該当する場合、課税事業者となり消費税の申告が必要です。該当しない場合は免税事業者となり、消費税の申告・納付は必要ありません。
- 前々年度の課税売上高が1,000万円を超えた場合
- 前年の1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円を超え、かつ給与等支払額が1,000万円を超えている場合
課税事業者が納税する消費税の計算では、仕入税額控除が適用されます。仕入税額控除とは、売上にかかる消費税の金額から仕入れなどにかかる消費税の金額を差し引くことです。
この仕入税額控除を受けるためにインボイスの交付と保存が必要になります。
免税事業者はインボイスを発行できないため、フリーランスのエンジニアは免税事業者のままだと、仕事を依頼する発注元の課税事業者が仕入税額控除を受けることができず、取引で不利になる可能性があります。
インボイス制度への対応
課税事業者の場合
フリーランスエンジニアが課税事業者の場合、そのままではインボイスを発行できません。インボイスを発行できる事業者になるには登録申請書を税務署に提出する必要があります。
免税事業者の場合
適格請求書発行事業者になるのであれば「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者になる必要があります。
※2029年9月30日までは、適格請求書発行事業者の登録申請書の提出のみで可。
課税事業者になると、年間の売上高が1,000万円以下であっても受け取った消費税を申告して納付しなければなりません。ただし、簡易課税制度が適用される場合もあります。
簡易課税制度とは、個人事業者は前々年、法人は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下の事業者につき、納税事務の負担を軽減するための制度です。受け取った消費税額にみなし仕入率という一定の割合を乗じて計算することで、消費税の計算などの手間が軽減されます。ただし、消費税の納付義務があることには変わりありません。
また、免税事業者がインボイス発行事業者を選択した場合には、3年間売上にかかる消費税額の2割のみを納めればよい特例措置(2割特例)もあります。免税事業者のままでいるべきかどうか検討してみてください。
適格請求書の書き方
適格請求書の書き方を理解することは重要です。
登録番号のほか、取引年月日や税率ごとの消費税額等など、必須となる項目については必ず記載する必要があります。
適格請求書の様式は、法令などで定められていません。下記の必要事項を記載することで、適格請求書として認められます。
- 発行事業者の氏名または名称および登録番号
- 取引年月日
- 取引内容
- 税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
まとめ
今回はフリーランスエンジニアの方が知っておくべき消費税についての基礎知識と、インボイス制度についてご説明しました。難しく感じる方も多いと思いますが、インボイス制度はフリーランスエンジニアに大いに関係します。この機会に理解を深めて、自分にとって良い選択ができるようにしましょう!